行政書士の仕事とは
行政書士の仕事は大きく分けて、「書類作成業務」、「許認可申請の代理業務」、「相談業務」の3つがあります。
官公署に提出する書類、権利義務又は事実証明に関する書類を作成する「書類作成業務」は独占業務で、行政書士および弁護士以外の者が報酬を得て、この業務を行うことはできません。行政書士が作成する書類は、簡単な届出書類から複雑な許認可手続きまで3000種類にも渡りますが、代表的なものとしては、建設業許可、会社設立、飲食店営業許可など官公署に提出する書類、内容証明郵便や風俗営業許可申請時に添付する店の配置図など事実証明に関する書面、遺言書、遺産分割協議書、会社定款など権利義務に関する書類などがあります。
これらの作成した書類を行政書士がクライアントの代わりに申請するのが「許認可申請の代理業務」です。いわば、国民と行政のパイプ役を担う業務といえます。複雑な許認可の申請手続きや、関係者や利害関係人の多い相続手続きの代理・代行をする場合などは、官公署や依頼主のもとへ何度も足を運ばなければならず、高い折衝能力が必要となります。
行政書士には、クライアントからの依頼を受けた書類作成について相談を受ける「相談業務」も認められています。相談の範囲は、遺産分割協議書の作成や遺言書作成の相談など個人レベルの相談から、ベンチャー事業立ち上げなど法人レベルのコンサルティングの依頼までさまざまです。最近では、独占業務である書類作成よりも新規ビジネスの提案や法的な助言などのコンサルティング業をメインとする行政書士も多くなっています。
また、行政書士は一定の研修考査および認定を受けることで出入国管理法に規定される申請取次業務を行うこともできます。これは外国人に代理してする入国管理局の手続きで、この手続きを行政書士に依頼した外国人は、一定の手続きについて出頭する必要がなくなります。
社会情勢の変化、高度情報社会の進展、規制緩和の推進により官公署に提出する書類は簡素化される傾向にあり、また、行政サービスの向上により、官公署に提出する書類のうち、簡単なものは本人申請が簡単にできるようになることから、今後、行政書士の業務はより高度かつ専門的知識を要する業務にシフトしていくものと考えられます。
今後、行政書士は行政に対する手続きに対する専門家として、商業登記や法人登記、建設業法、不動産や農地法等の法令や実務に精通し、土地家屋調査士や司法書士、社会保険労務士などその他の隣接法律専門職とも連携して、よりいっそう高い法的サービスを提供することが求められるでしょう。