通関士の仕事とは
通関士の仕事は、国際物流の手続きを行う仕事です。
日本は資源が少ない国なので、外国から石油や食料品、木材などを輸入しています。そしてこれらの原料を加工して外国に輸出することもあります。日本は様々な国と貿易を行って経済を成立させていますが、外国と物のやり取りをすると関税や消費税、輸出入可能な物などルールが必要です。ルールに基づいて判断しているのが税関で、通関士は税関に代わって輸出入の管理を行っています。
通関士は通関書類を審査して合格したものに記名捺印します。通関士と税関はNACCSという情報処理機構を通してやり取りを行い、ほとんどの業務をパソコンで扱っています。日本には麻薬や銃などを輸入するのは禁止されているため、違法な物が国内に流通しないように水際で食い止めています。
通関士が審査に通した物でも、税関長が判断を否定することがあります。それに対して異論がある場合は、輸出入業者の代わりに通関士が不服申し立てを財務大臣に行います。通関士は航空会社や貿易会社など会社に勤務するサラリーマンですが、独立して通関業者になる人もいます。会社員として働く場合は年収は平均で500万円ほどで、独立して安定して仕事をもらえると大幅に上げることができます。
最近ではネットショッピングを利用する人が増えているので、個人で輸入や輸出を行うこともあります。個人レベルまで物流のルールを守ってもらう必要があるため、これからも通関士は一目置かれる存在です。
スキルの高い通関士は、手続きを正確かつ迅速に終わらせることができます。特に航空会社に勤務すると飛行機が到着してから2時間で済ませることが大切です。海上輸送では大型トラックが何台も手続きを待っているので、一つの手続きに手間取っていると多くの人が時間をロスしてしまいます。税関を通る1万種以上の輸出入品目を国が定めた実行関税率に従って、適用税率を計算するのは正確さや慣れが求められる作業です。特に精密部品は誤った税率をかけられやすいので、日本の経済に貢献するためにも通関士には正しい判断が必要です。
通関士になるための試験は学歴や年齢、国籍に関係なく受けることができます。学生のうちに資格を取得すれば、物流に関わる会社での就職活動で良いアピールポイントになります。女性は通関士受験者の3分の1しかいませんが、専門性の高い資格は結婚や出産、育児で仕事から離れても再就職しやすいとされ、女性の社会進出を助けてくれるでしょう。