科捜研〜科学捜査研究員の仕事とは
科学捜査研究員は、都道府県警察本部に設置されている科学捜査研究所(科捜研)で働いている人を指します。
科捜研こと科学捜査研究所で働く科学捜査研究員の仕事は、犯罪が起こったときに押収された証拠を科学の専門的な知識をもって分析することによって、犯罪を解決に導くという大変重要な役割をもっています。科学捜査は様々な分野に分かれていて、法医学や化学、工学・物理、文書、心理学、現場科学などによって分かれています。それぞれの分野によって、必要とされる専門知識が異なっています。
科学捜査研究員は警察組織の一員ですから、採用されるためには大学や大学院で専門的な知識を学び、論文発表や研究に関しても優秀な成績をおさめることが求められています。その上で、地方公務員に合格しなければならないので、科学捜査研究員になるためにはかなり狭き門だといえます。
具体的な科学捜査研究員の仕事は、法医学の場合は血液や体液、皮膚などの検査や鑑定を行い、血液型やDNA鑑定を行って個別認識をします。化学の分野では血液中に含まれている麻薬成分や血中アルコール濃度を検査したり、被害者の爪に残された繊維片などを鑑定します。工学・物理の場合は、火災現場や家が倒壊した現場を検証したり、交通事故などの原因究明を行います。文書の分野では、筆跡鑑定やパスポートなどの重要書類の文書鑑定、偽造通貨などの鑑定を行います。心理学の分野では、容疑者の供述に嘘はないかを鑑定するためポリグラフ検査を行ったり、犯罪心理の傾向などを分析する研究を行っています。現場科学では、実際に事件が発生したときに警察官と一緒に現場に出動して、現場で行える簡易な鑑定を行うことになっています。
それぞれの分野によって科学捜査研究員の仕事は異なっていますが、どの仕事も犯罪を解決にするためには欠かせない重要な仕事になっています。科学捜査研究所で分析された証拠は、犯罪を立証するために使われたり、裁判での重要な証拠になることがあります。また、証拠を分析することによって、犯罪の真相を解明することになったり、犯人を逮捕するための証拠やきっかけを見出すことになります。
科学捜査が発達したことによって、血液だけでなくDNA鑑定も行われるようになり、供述だけで判断するのではなく科学的な根拠によって犯罪を立証することができ、冤罪を防ぐことにも貢献できるようになりました。今や科学捜査研究所(科捜研)とそこで働く科学捜査研究員は、警察の捜査には欠かせない存在になっています。